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ティーチングとコーチングの違いとは?塾講師を育成する使い分けと実践ポイント

公開日:2026.10.26

更新日:2026.10.28

この記事は3958文字です。
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「せっかく採用した講師が定着しない」「あの講師への声かけはこれでよかったのか」と悩むことはありませんか。人材育成の現場では、「ティーチング」と「コーチング」を正しく使い分けることが必要です。では、その違いを説明できますか?本記事では「ティーチング」と「コーチング」の違いと、講師の成長を引き出す使い分けのポイントを解説します

ティーチングとコーチングの違いとは?

人材育成でよく使われる「ティーチング」と「コーチング」は、似ているようで役割が大きく異なります。どちらも必要な手法ですが、適切な場面で使い分けることが重要です。

まずはそれぞれの特徴と違いを整理し、現場での判断軸を持ちましょう。

項目ティーチングコーチング
目的型を教える自立を促す
主導権教える側講師側
対象新人経験者
方法指示・説明質問・対話

ティーチングとは|正解や型を伝える指導法

ティーチングとは、答えや手順を明確に伝える指導法です。特に経験の浅い講師に対しては、「どうすればいいか」を具体的に示すことで、短期間で一定の質に引き上げることができます。

例えば、板書の内容や授業の進め方をマニュアルとして提示することで、迷いなく実践できる状態をつくります。最初に正しい型を身につけさせることで、教室全体の指導品質を安定させる役割があります。

コーチングとは|自ら考えさせる関わり方

コーチングは、答えを教えるのではなく、問いかけによって相手の中から答えを引き出す手法です。ある程度経験を積んだ講師に対して有効で、「他にどのような教え方、アプローチがあるだろうか」「もっと良くするにはどうすればいいか」と考えさせることで、主体性や改善力を育てます。

単なる指示ではなく、対話を通じて気づきを促すため、長期的に成長し続ける講師を育てることができます。

ティーチングとコーチングの決定的な違いは『主導権』の所在

ティーチングは教える側が主導となり、正解へ導くアプローチ。一方でコーチングは相手が主導となり、自ら考えて行動することを重視します。どちらが優れているという話ではなく、講師の経験や状態に応じて使い分けることが重要です。

この視点を持つだけで、日々の声かけの質が大きく変わります。

ティーチングとコーチングのメリット・デメリット

それぞれの手法には強みと弱みがあります。適切な場面で使えば大きな効果を発揮しますが、使い方を誤ると逆効果になることもあります。ここではメリット・デメリットと具体的なシーンをセットで理解していきましょう。

デメリット

ティーチング

  • 指示待ちになりやすく、自ら考える力が育ちにくくなる

コーチング

  • 成果が出るまでに時間がかかる

メリット

ティーチング

  • やり方を具体的に伝えることで、短期間で一定の成果を出すことができる

コーチング

  • 考えて行動するようになるため、改善のサイクルが自走しやすくなる

ティーチングのメリット・デメリット

ティーチングの最大のメリットは即効性です。やり方を具体的に伝えることで、短期間で一定の成果を出すことができます。特に新人講師にとっては「何をすればいいか」が明確になるため、安心して業務に取り組めます。

一方でデメリットは、指示待ちになりやすい点です。常に答えを与えられる環境では、自ら考える力が育ちにくくなります。基礎を固めるフェーズでは有効ですが、長期的には依存を生む可能性もあります。

コーチングのメリット・デメリット

コーチングの強みは、主体性と成長力を引き出せる点です。講師自身が考えて行動するようになるため、改善のサイクルが自走しやすくなります。その結果、教室全体のレベルアップにもつながります。

ただし、成果が出るまでに時間がかかるのがデメリットです。また、基礎ができていない講師に対して行うと、「何をすればいいかわからない」という状態に陥ることもあります。段階を見極めた運用が不可欠です。

やりがちな失敗パターン

よくある失敗は、講師の状態を見ずに手法を固定してしまうことです。例えば、新人に対していきなりコーチングを行うと、何を考えればよいかわからず手が止まります。
逆に、経験豊富な講師にティーチングを続けると、自分のやり方を否定されているように感じ、モチベーションが低下したり、反発を招いたりすることがあります。このズレが積み重なると、離職やパフォーマンス低下の原因になります。
常に「今この講師に必要なのはどちらか」を考えることが重要です。

ティーチングかコーチングか?判断チェック

「結局どちらを使えばいいのか分からない」と感じる方もいるのではないでしょうか。そこで、判断するためのチェック項目を紹介します。直近の講師の方の様子を思い浮かべながら確認してみてください。

5つのチェック項目

以下の項目についてチェックしてみましょう。

  1. 経験が1年未満
  2. 理念は理解しているようだが実践ができていない
  3. 自分で判断できず、指示を待つ場面が多い
  4. 指導の質にバラつき(ムラ)がある
  5. 授業準備や専門知識のインプットが不足している

判定基準と使い分け

Yesが3つ以上なら「ティーチング」から

チェックが3つ以上つく場合は、まだ基礎形成の段階です。「やり方がわからない」不安がある状態なので、まずは正しい型を教示するティーチングで土台を固めましょう。

Yesが2つ以下なら「コーチング」の出番

一方でYesが2つ以下の場合はコーチングが有効です。すでに一定の基礎があるため、問いかけを通じて自ら考える機会を増やすコーチングへシフトしていきましょう。

どちらか一方に振り切るのではなく、「ティーチング7:コーチング3」など段階的に組み合わせることが現場では効果的です。

大学生講師でよくあるケース

塾では大学生講師が中心となるケースが多く、週あたりの勤務日数が異なるので、単に経験月数だけでは一律にサポートの型を決められないという難しさがあります。その講師の成長度合いを見極めてティーチングとコーチングのバランスをとることが必要です。

初めて講師をする段階では、授業の進め方や基本ルールが分からないため、ティーチングが不可欠です。
1年ほど経験を積むと一通りの業務はこなせるようになりますが、成長が停滞しやすい時期に入ります。このタイミングでコーチングを取り入れることで、主体的な改善が生まれます。
中には、「社会人になっても講師として働きたい」「教室をもっとよくしたい」という大学生講師も現れるかもしれません。その場合は、ティーチングを卒業し、コーチング中心の関わりにシフトしていきましょう。

おつまみメモ

学生講師なのか、社会人講師なのか。経験月数が短いのか、長いのか…講師によってどちらの指導があっているかは様々です。判断チェックをするためにも、様子をよく観察するようにしましょう。

講師育成を成功させる5つのポイント

ティーチングとコーチングを理解したうえで、実際にどう運用するかが重要です。ここでは現場ですぐに実践できるポイントを紹介します。

①ティーチングからコーチングへ段階的に移行する

育成は「教える」から「考えさせる」への移行が基本です。最初からコーチングに頼るのではなく、基礎を固めたうえで徐々に比重を変えていくことで、無理なく自立を促すことができます。

② 関係性を先につくる

コーチングは信頼関係があってはじめて機能します。日頃の声かけや承認、雑談を通じて心理的な距離を縮めておくことが重要です。

③ フィードバックは具体的に

抽象的な評価ではなく、行動レベルで伝えることが重要です。「良かった」ではなく「どこがどう良かったか」を明確にすることで、再現性が高まります。

④ 日々の会話の質を向上する

単なる報連相だけでなく、被育成者が「考える」ことができるようなやり取りを意識することで、講師の成長につながります。

⑤ 成長段階を常に見直す

講師の状態は変化します。一度決めた関わり方に固執せず、定期的に見直しながら最適な手法に調整することが、継続的な成長につながります。

まとめ

「ティーチング」と「コーチング」を使い分けることが、講師の定着や指導品質を高める鍵になる!

  • 講師の状態で手法は変える
  • ティーチングとコーチングは併用する
  • 段階的な移行が成長を促す

ティーチングとコーチングは対立するものではなく、講師育成を支える両輪です。重要なのは「どちらを使うか」ではなく、「誰に・いつ使うか」です。講師一人ひとりの状態を見極め、適切に使い分けることで、教室全体の質と安定性は大きく向上します。まずは日々の声かけを少し変えるところから始めてみてください。それが講師の成長、ひいては教室運営の改善につながります。

執筆

株式会社SRJ

全国の学習塾・教室を中心に、ICT×自立学習型能力開発プラットフォーム『TERRACE』を開発・提供。「速読解力講座」「新国語講座」「速読聴英語講座」「算数的思考力講座」など、子どもたちの学力の土台となる力を体系的に育む講座を展開しています。