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「返り読み」脱却で英語の速読力を伸ばす!生徒が頭から読めるようになる5つの指導アプローチ

公開日:2026.10.27

更新日:2026.10.29

この記事は4713文字です。
約4分で読めたら読書速度1200文字/分。

英語の文章を読むとき、文末まで読んでから日本語に訳し直す「返り読み」をすることが習慣になっている生徒は少なくありません。しかしこの読み方では、読むスピードにどうしても限界があります。
大学入学共通テストで求められるスピードの一つの目安は約150wpm(1分間に150語)です。このスピードに到達するには、英語を頭から順番に理解していく読み方へ切り替えることが必要不可欠です。
この記事では、返り読みが起きる原因と、頭から読む力を育てるための指導のポイントを整理します。

1.最初の対策は返り読みの原因を知ることから

返り読みが「習慣」になってしまった背景と原因を正しく把握します。

「和訳しなさい」が染みついている

英語の授業の中で「和訳しなさい」という設問に答えたり、英文を読んだら「本文和訳」が載っていたりするなど、「英語を読む」ことは「日本語に直す」ことが当たり前になってしまっている生徒は多くいます。日本語に訳さないといけないと考えるばかりに、語順の違いを「返り読み」という形で補おうとしてしまっています。

語順=情報が出てくる順序の違いに慣れていない

英語はSVO型、日本語はSOV型とよく言われます。
語順が違うということは、頭に入ってくる情報の順序が違うということです。その違いに慣れていないことが、返り読みを引き起こす原因の一つと言えるでしょう。
一つひとつのフレーズの意味は理解できても、頭の中で情報を組み立てる段階で返り読みにつながっているイメージです。

おつまみメモ

実は、日本語と同じくSOV型になる言語は世界の言語の約半分(トルコ語、韓国語など)を占めています。決して日本語が特別な語順というわけではありません。
構造の違いを冷静に理解させることが、返り読み脱却の第一歩になります。

2.英語の「語順のまま」理解できる感覚を育てる

適切なトレーニングを通じて、英文を意味のまとまりごとに捉える感覚を育みます。

語彙の定着不足は「返り読み」につながる

定着の甘い単語が出てきてしまうと、どうしても読むスピードにブレーキがかかってしまいます。周辺の単語から文脈を考えて類推するという思考に入ってしまうためです。
もちろん、ある程度英語に習熟してくれば、「これは読み飛ばしていい単語だ」という感覚がつかめますが、その段階に到達するまでは、しっかりと単語の定着をすることを意識しておきたいところです。

スラッシュリーディングで「単語レベル」から「かたまりレベル」に引き上げる

英文を意味のまとまりごとにスラッシュで区切り、かたまりごとに前から理解していくことを目指します。
2~4語程度の「かたまり」を組み合わせて文の意味を理解できるように、練習を積み重ねていくことが大切です。スラッシュの入れ方(区切り方)は様々な考え方がありますので、まずは学習者が一番取り組みやすい区切り方でよいですが、ある程度慣れてきたら、文構造に基づいた区切り方を指導していくと、より高いレベルへ引き上げられることでしょう。
重要なことは、文を「ばらばらな単語の組み合わせ」ではなく「いくつかのかたまりの組み合わせ」で捉えるということです。

修飾語句が「後ろから」修飾するケースに慣れていく

日本語のように前から修飾する場合(pretty cat「かわいい猫」のような場合)には、頭から理解することは簡単ですが、英語では長い修飾語句は後ろから修飾します。
関係代名詞や分詞などがその例ですが、こういった場合に「返り読み」になってしまうケースが多くあります。スラッシュリーディングをする中で、このような語順にも慣れておくことが重要だと言えるでしょう。

3.リスニングトレーニングを活用する

後戻りができないリスニングを活用し、頭から理解する習慣を強制的に身につけさせます。

強制的に「頭から処理する」につなげる

リスニングでは、聞こえてきた言葉を聞こえた順番に処理していくしかありません。
「もう一度ちょっとだけ戻してほしい」ということは、実際の会話の場面では頼むことはできるかもしれませんが、テストの場では不可能です。このリスニングの制約は「頭から意味を取る処理」に強制的に慣れさせることにつながります。
先ほど「語順=情報が出てくる順序」と書きましたが、リスニングではこの「情報が出てくる順序」に慣れることが可能になります。

リスニングの「瞬時に意味を取る力」がリーディングにもつながる

リスニングでは、音声を瞬時に意味として処理・理解しなくてはいけません。このことに慣れれば、リーディングでも同様の速度で意味を取ることができるようになります。

おつまみメモ

同じ英文を使って「聴く(リスニング)➔ 読む(リーディング)」の順で扱うトレーニングを導入すると、生徒は「訳さずに頭から理解する感覚」を実感できるようになるでしょう。

4.速読トレーニングと多読でスピードアップ

多読と速読トレーニングを重ね、頭から読んで理解できる力を伸ばす。

易しい英文の「多読」は「返り読み」させないための有効なトレーニング

やや易しめの英文を大量に読む「多読」は、英語のまま意味を理解する感覚を育てるのに有効なアプローチです。
文章内の未知語が5%未満のものをどんどん読み進める経験を重ねることで、「返り読みしなくても意味が分かる」という感覚をつかむことができます。その経験を積み重ねていくと「わざわざ日本語に訳さなくても大丈夫」というレベルに到達することができます。

英語の「かたまり」を見て意味が分かるようになる速読トレーニング

英語を読むスピードが遅いもう一つの原因は「文字を脳内で音声化していること」です。
例えば、Good morning. は、わざわざ脳内で音に変換しなくても意味が分かりますが、これはかたまりで意味が把握できるようになっている例と言えるでしょう。もちろん、学習において「音読」を否定するものではありません。
スラッシュリーディングで「かたまり」ごとに意味をとらえる練習をしていくと、一単語ずつ音声化しなくとも、英語の意味が分かるようになり、結果として英文を読むスピードがアップしていきます。

自分のwpmを計測して意識を高める

自分がどれくらいのスピードで読めているのかを意識させることは重要です。
「この分量の英文をどれくらいで読めるのか」を目安として知ることができるように、wpm(1分間で読める語数)を計測していくと、成長実感につながります。それだけでなく、英文のジャンルによってスピードが変わっているようであれば、苦手なジャンルを把握することも可能です。
いずれにしても、速く読むことへの意識を持たせることで「返り読みをしている場合ではない」という感覚につながるでしょう。

おつまみメモ

授業やテストでwpm(words per minute:1分間に読める語数)を測る際は、以下の数値を目標目安として生徒に提示してみましょう。

高校入試:全国平均で約110wpm(ただし地域によって異なる)
大学入学共通テスト: 約150wpm

※SRJ調べ

「100語の文章を1分で読めたら100wpm」とシンプルに計測させ、数値の変化で成長を可視化することが、速読意識を高めるポイントです。

5.継続的に指導して育てていく

英文の難易度が上がっても諦めず、継続的な指導で頭から読む姿勢を定着させます。

複雑な英文が増えることを忘れない

学年が上がるにつれ、扱う英文が長く複雑になると、返り読みをして、きれいな日本語訳を作りたくなってしまいます。難しい英文であれば返り読みの処理に時間がかかり、読むことへの苦手意識につながる可能性もあります。
返り読みをゼロにすることは難しいかもしれませんが、その都度「頭から読む」ための指導をしていくことは、塾としての重要な役割とも言えるでしょう。

もちろん「精読」が必要な場面もある

ここまで「返り読みしない」という話を続けてきましたが、もちろん 「精読」をすることが必要な時もあります。
例えば、試験で和訳が求められている場合はその代表例です。下線が引かれていて和訳が求められている設問は、そこに「下線を引く意味」があったわけですから、「なんとなく」の日本語訳を書くのではなく、構造を正しく理解できているとわかる日本語訳を答案として書く必要があります。
普段の学習の中で「こういう場面は精読が必要だが、ここは返り読みしないでスピーディーに読む必要がある」と区別させることで、目的に応じた読み方を選べるようになるでしょう。

おつまみメモ

短い文・易しい文からで構わないので、「訳さなくても意味がわかる」という感覚を早めに体験させることは重要です。「英語は日本語に直してから理解するものだ」のように考えが固定化しないように、簡単な英文から「頭から読んで理解できる体験」を組み込んでみてはいかがでしょうか。

英語の「返り読み」を自動で防ぎ、wpmを向上させる「速読聴英語講座」

生徒の返り読みを防ぎ、速読力を鍛える重要性は理解していても、「一人ひとりのwpmを手作業で計測するのは大変」「多読用の適切な教材を用意するのが難しい」とお悩みの先生も多いのではないでしょうか。

そこでおすすめしたいのが、日本速読解力協会が提供する「速読聴英語講座」です。

生徒のレベルに合わせてコースを選択でき、計測したwpmに合わせてトレーニングが展開。なぞり読み、スラッシュリーディングで、英文を前から、意味の固まりごとに読む訓練を行います。
先生の教務負担を最小限に抑えながら、入試に必要な速読力の習得を目指し、生徒が自立して学習を進めることができます。

まとめ

英語の返り読み脱却には「頭から理解する体感」の積み重ねが大切

返り読みは、多くの生徒に染みついた習慣であり、意識するだけでは簡単には変わりません。
原因を把握し、語順の感覚を育て、リスニングも活用しながら、多読や速読のトレーニングを積み重ねていく>ことで、少しずつ「頭から読む力」が育っていきます。
共通テストで求められる読むスピードへの対応は、一夜漬けでは間に合いません。だからこそ、早い段階から意識的に取り組む塾の指導が、生徒の英語力を大きく左右すると言えます。
今回ご紹介したポイントを参考に、「返り読み」からの脱却、速く正確に英文を読めるための指導の設計に取り組んでいただければ幸いです。

執筆

株式会社SRJ 執行役員

安田 哲

約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。

好きなおでんの具材:1.大根 2.ちくわ 3.はんぺん