教えるだけでなくトレーニングも並行して行う授業へ
数字目標が真剣に取り組む動機づけになった
| 課題 | ・共通テストの長文問題の対応 ・リスニングへ時間を割くことができない ・地方特有の講師不足 |
| 効果 | ・1年間で読む速度が平均100wpm前後まで向上 ・リスニングトレーニングができ、聞く力が向上 ・授業運営の効率化ができた |
共通テストへの移行で英語の長文化対策が必要
センター試験の時から英語の語数は増加傾向にありました。総語数4,500語で出題された年、「長文問題」を解ききれなかったという生徒が数名いました。
そこから共通テストへ移行し、長文問題のみとなったことでさらに1,000語増えました。2022年の試験に至っては6,000語でした。短時間で多くの情報を処理する速読・速解力が求められる傾向はますます強まっており、文法と精読を中心とする今までの授業形態のみでは対応できないことは明らかでした。
どういった授業を提供していけばいいのか試行錯誤していた時に出会ったのが「速読聴英語」でした。授業が教えるだけの場からトレーニングも並行して行う場への転換するきっかけとなりました。
読む・聞くことに集中して取り組める
速読聴英語講座の導入時にまず感じたのは、気を抜くことができない教材だということです。単語テストは満点にならないと次へ進めませんし、リーディングでは読書スピードが計測されている上、設問がわからない状態で読み進めるため、読書スピードを意識するだけでなく全体の内容把握が重要となります。リスニングも同様です。同じパソコンに向かい授業を受ける講義形式の映像授業とは違い、問題を解くことに注力できるため、集中して取り組めているようでした。
そして文章の話題や難易度が幅広く用意されていることは、管理する上でも大変役立ちました。今取り組んでいるコースが合っていないかもしれないと感じたら、生徒が自分で変更することもできます。紙の問題集でこれほど軽やかに変えることは難しいので、こういった点はデジタル教材ならではの良さだと感じました。飽きたと唇を尖らせる生徒には少し難しいものに挑戦させるなど、柔軟な運用ができています。
速読聴英語講座 トレーニング画面

▲語彙(一覧)

▲語彙(テスト)

▲リーディング(本文)

▲リーディング(設問)
1年間で読書速度が60wpm→130wpmにアップ
初めて教材の使い方を説明する時には、SRJコンシェルジュの方に来ていただき、大変助かりました。
その時に初めて生徒がどれくらいの速さで読んでいるのかを目の当たりにしたのですが、Course Ⅱの最初の問題が、高校2年生で60wpm。高校3年生も100に届かず。伸び代しかない状態だけど、伸びるのかと半信半疑ながら週に1度、最低でも2単元進めるように決めスタートしました。
結果、1学期中にはほぼ全員が100wpm前後で安定して処理できるようになり、明らかに処理時間がアップしていました。1年経った現在では、Course Ⅲでも100~130wpmで解けています。
国語や英語は数値を使った目標設定がしにくい科目です。しかし読書速度という数値で意識させることができました。この点も真剣に取り組む動機づけになったように思います。
速読聴英語講座 成績画面例

▲wpm推移

▲学習状況
リスニングが組み込まれていてどんな生徒でも取り組みやすい
共通テスト英語におけるもう一つの大きな変更は、リスニングの配点が大きくなった事です。そこに時間を割くことができない生徒が多い当塾としては、頭の痛い問題でした。
その点、速読聴英語はリスニングが組み込まれているため、どんな生徒でも取り組みやすいです。そしてリーディングで読んだ文を聞くことにより、単語のスペルと発音を一致させることができます。正直、これだけでは試験で求められる問題を解く力は付きにくいと思っていました。とはいえ、「リスニングで何言ってるのか全然分からなかった!」と訴える生徒は減りました。
また副次的な効果として、あまり勉強できなかったと言っていた生徒が英検®2級のリスニングで60%以上得点できたという事もありました。継続して取り組めば耳は育つのだなと思った出来事でした。
講師に代わり、トレーナーとしての役割も果たしてくれる
当塾での授業は1コマ80分。従来はその時間全てで対面授業を行っていました。速読聴英語を導入したクラスではそれを2つに分け、40分対面授業、もう40分は速読聴英語という構成にしています。この授業システムによって、1人の講師で従来の2倍の生徒をみることができるようになり、慢性的な講師不足を改善することにも繋がりました。
当塾は近くに大学がない過疎の進む地域にあり、都市部のようにアルバイトの大学生を採用することができません。そのため慢性的な講師不足の状態にありました。毎年質の高い講師を探すことに追われ、綱渡りのようなクラス編成を行っていましたが、今年度は速読聴英語によりその負担が軽減されました。また共通テスト英語対策では、平易な文の多読、いわばトレーニングをどれだけ行えるかが重要となっています。速読聴英語は講師というよりトレーナーとして働いてくれるので、この点でもちょうど良かったです。
後回しにしがちな課題がパッケージ化
継続のために高3生の自習へも導入
1年間で習慣化できたと見込まれることから、2022年度から、高校3年生では授業時間以外で使用することとしました。他塾様の導入事例などを参考にしながら、継続させるための工夫を考えています。
導入して1年ほどが経過し、自主的に文法や精読に取り組む生徒とそうでない生徒との成績の差といった課題も見えてきました。ここからも明らかですが、速読聴英語1つあれば英語学習全てが賄えるわけではありません。しかしながら単語学習、多読、リスニングなど後回しにしがちな課題がパッケージ化されているのは大きな長所です。SRJコンシェルジュの方が面談の時間をよく設けてくださるのも運用していく上で大きな助けとなっています。

※本事例中に記載の内容は取材当時(2022年3月)のものです。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。