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レポート

2021年SRJ秋期定例研修会「今こそ!変革の時 -常識を変えていく学習塾・スクール経営 – 」

 2021年10月3日(日)・7(木)に秋期定例研修会「今こそ!変革の時-常識を変えていく学習塾・スクール経営-」を開催いたしました。
 今回はオンラインでの開催でしたが、多くの皆様にご参加いただき、大盛況で終了いたしました。当日の講演を一部ご紹介します。

▼株式会社SRJ 代表取締役社長 堀川より

 本日は、大勢のみなさまにご参加いただきまして心より御礼申し上げます。
 SRJは今年25周年を迎えます。10月より緊急事態宣言が解除されたこともあり、今後はコロナの影響で感じたもどかしさを晴らすべく、みなさまのニーズにお答えできる施策を考え実行していく所存です。

今後の塾の役割は何か?

 昨今高校受験の競争率が非常に下がっているため、高校受験のために塾へ行くというニーズは低下していくと予想されます。そこで今後の塾の役割とは、『小学生中心の早期能力開発』から『大学受験を目指す』など、【小中高と一気通貫したサービスを提供すること】だと考えております。
 小学生でいえば基礎的な読解力を身につける「新しい国語の教育」の設定が必要です。算数で言えば「思考力」、英語に関しては「単語力、語彙力」になります。
 現在我々は来春リリースに向けて、小学生で学ぶ英単語も交え、速読聴英語の一部コースのリニューアルの準備をしています。
 そのリリースで国算英を揃え、小学部の拡充、検定のアップグレードをしていきます。
 次年度、部分的にでも必修化できるよう、授業の一環となれるぐらいの質とコンテンツ量に高めていきたいと考えています。

1番の主役は受講生

 今までは主に会員塾様に寄り添うことを意識してきましたが、1番の主役は受講生だということを再認識しています。
 そこで、今後は受講生どうしのつながりを作っていきたいと考えています。「競い合いながら高めていく」ことを基本に横のつながりを深めていきながら、学習での成果を実感していただくためです。
 例えば対戦機能を加えて、同じレベルくらいの受講生との対戦、全国1位の受講生との仮想競争を予定しています。
 今後も長期継続の一環としてこのようなサービスを強化してまいります。SRJの理念である『一隅を照らす」をあらためて決意し、今まで以上に地方地域に密着し寄り添っていく所存です。時代の中心となっているオンラインのよさを取り入れつつ、我々はお客様に直接関わっていくことを大切にする、不易流行に立ち返りたいと考えております。

▼事例講演 SPセミナー 上野 みゆき 様
「学びに変革!自立学習人材育成ノウハウとTERRACE活用術」

 小1~高3まで在籍している総合進学塾「SPセミナー」、2~12歳まで在籍している英語教室「SPキッズ」、アドラー心理学を用いた子育て支援「SPペアレンツ」を運営しております。

TERRACE必修化のきっかけ

 英数の偏差値は60を超えているものの、国語がとても苦手な生徒の様子を見て、「何とかせんばいかん!」と思い、TERRACEの導入を決意しました。
 即効性を求めて夏休みから開始したところ、わずか5か月後のセンター試験本番では国語の点数が3倍増と予想以上の成績を叩き出し、高等部の速読必修化のきっかけとなりました。

TERRACE必修化のメリット

 必修化のメリットとして、以下があげられます。
 ①全員がTERRACEをやっているので、授業中やLINEでも全体的に声掛け、周知ができる
 ②徒歩や自転車で通学する生徒は、通塾回数の増加により細やかな声掛けができ、モチベーションアップ
 ③車で通学する生徒は、授業の前後に実施することで、TERRACEだけのために塾に来る必要がなく、送迎の負担が減少

TERRACE継続のための工夫

 導入直後は生徒を放置してしまった結果、飽きて退会に繋がってしまいました。
 その失敗を活かし、担当者の常駐、名簿の貼り出しを行い、管理を徹底して行うようにしました。
 またTERRACEの全体像がわかるトレーニング表を席に配置することで自走を促し、アドラー心理学を活かした、結果ではなく過程に着目した声掛けを実施し、モチベーションアップに繋げました。

中学生の成績における速読効果

 在籍する中学3年生22名を対象に、速読トレーニングの実施回数によってグループ分けを行いました。
 A:20回以上受講
 B:20回未満
 C:未受講

 調査結果としては下記のようになりました。
 A:特に国語の成績アップが顕著に見られた
 B:全体的に成績アップしているが、Aよりは緩やか
 C:成績上位者が多かったが、他のグループに比べて成績はアップしておらず、現状に満足して意欲低下したと考えられる

 結果として、トレーニング回数が多いほど顕著に成績がアップしており、生徒からも「見直しの時間がとれるようになった」「最後まで問題を読めるようになった」という感想をもらいました。

▼事例講演 さくらゼミ 大舘 忠仁 様
「こどもの一歩先を見据える”一貫教育”」

 当塾は『本気で志望校大学合格を目指す人を応援する塾』です。小学生から高校生の生徒が在籍している中で、全体の57%を高校生が占めています。企業秘密である『学習サイクル』『7つの約束』を土台としています。

速読解・速読聴英語の導入のきっかけ

 2020度から開始された共通テストは、今まで以上に読解力が必要になります。そのため、私たちは生徒たちへの思い一心でこの導入を決断しました。
 みなさん、キーワードピッキングやスワイプ読みをやっていませんか?それはスマホやタブレットがもたらした弊害です。読解力がないと文章が理解できないだけではなく、難しい契約書や議事録が読めません。これは学生の受験に限ったことではなく、大人も関係のある話なのです。

『AIに負けない速読解スクール』を開講

 速読解・速読聴英語の導入に合わせて、読解力専用の塾をつくりました。読解力だけを扱い、読解力だけを鍛える塾です。
 スクールの大きな特徴は担当者が生徒の管理をきちんと行っていることです。
 また、以下①~③の取組みを徹底しています。

 ①オリジナルプログラムを作成
 ②時間割を作成(Notionというアプリを使用)
 ③毎日の受講チェック(今週の受講日、来校or自宅受講など)

 今年5月に実施された速読聴英語検定で、当塾の生徒が全国第1位を取ることができました。このような喜ばしいことが起こると塾全体が一層モチベートされ、生徒たちのやる気向上に繋がります。

「インサイドアウト」に戻り、基本に立ち返りましょう

 私たちは、目の前の子供たちにたっぷりとエネルギーをかけています。その割合は【指導9.5:営業0.5】です。
 私は塾講師をはじめてから33年間が経ち、今感じていることがあります。それは「インサイドアウトに戻り、基本に立ち返ろう」ということです。そうすると、塾生が友人を塾に連れて来てくれることが起こります。
 生徒のために、生徒を守りながら、新しいパラダイムを手に入れませんか?

▼基調講演 株式会社エデュケーショナルネットワーク 向井 菜穂子 様
「高校教育最前線2021~変わる新指導要領、大学入試への影響を考える~」

 2025年度入試以降の共通テストについて、まだすべてが明確になっていない中、小学校、中学校の英語教育が大きく変わり、来年度はいよいよ高校の教育、教科書が変わります。大学入試への影響や、学習塾・スクールに求められる対応はどのようになるのでしょうか。

高校教科書はどう変わる?

 2022年度から段階的に、高1生(2022年度)、高2生(2023年度)、高3生(2024年)と教科書が変わります。「国語」では科目編成が大きく変わり、「数学」では数学Cが復活するものの、内容は再編され、以前までの内容とは異なるため注意が必要です。変化の大きい「地理歴史」では、日本史・世界史が統合された『歴史総合』が必履修となり、新しい科目として教科横断型の『理数探求』も追加されます。
 新学習指導要領では、小学生~大学入学まで「日常生活の中で活かせる知識を身に付けること」が軸となっており、さらにインプットされた知識・技能を「日常生活でどう使いこなしていくか」ということに重点が置かれていて、そのことが各教科の変化につながっています。

大学入試への影響

 2025年度以降の共通テスト科目には「情報」が加わり、現行の5教科7科目から6教科8科目に変わります。「情報」は、すでに大学入試センターが公表しているサンプル問題を確認すると、おおよその傾向を把握できます。
 2024年度までの共通テストは、2025年度以降の共通テストの助走期間と言えます。全くの別物になることはないので、今の共通テストが、どこに力を入れていくかを注視していくことが望ましいと言えます。英語の4技能評価、記述式問題の導入については現段階では断念されましたが、CBTの活用については、2025年度は紙での実施が決定したものの、以降は引き続き検討されています。

学習塾、スクールに求められる対応

 2021年度入試ではコロナ禍の影響もあり、国立大学では総合型選抜(旧AO入試)の入学者が増えました。優秀な生徒は合格が早く決まる私立に取られてしまうことや、国立大学の後期入試では入学者に第一志望者が少ない現状があります。そのため、後期入試の合格者数を縮小し、総合型選抜での入学者数を増やす流れがあります。
 上記の現状も踏まえ、今後、学習塾やスクールに求められるのは「情報」です。総合型選抜や学校推薦型選抜で重視される調査書にかかわる定期テスト対策はもちろん、高校1年生のころから、どこをどのように目指し、何をしていけばよいかを考えておく必要があります。大学ごとの入試情報を把握し、個別に相談できる学習塾やスクールが、今後より求められるでしょう。